PモードとAモード

私たちは当たり前のように口にしている言葉ですが、最近手に入る機種にはそもそもそういう設定が無かったりするので、とまどう方がいらっしゃるかもしれません。

一般向け空撮用ドローンの代名詞的存在だったPhantom 4 Proなどのプロポ(送信機)にあるスイッチで切り替えられる飛行モードのことです。

Phantom 4 Pro
Phantom 4 ProのプロポにあるP, Aモード切替スイッチ

PはPositioningのPで、GPSや下方カメラ(ビジョンポジショニング)による機体位置の安定化機能が働き、多少の風が吹いても機体自身が位置をキープするので、ほぼ操縦者のスティック操作の通りに機体が動いてくれます。

AはATTIのAで、姿勢(Attitude)や高度は維持されますが上記のような機体位置の安定化機能がオフになり、少しの風にも流されます。意図した通りに飛行させるには風に対するカウンター操作も加えたスティック操作が必要になるので操縦は難しくなります。

国交省の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」ではGPS等の安定化機能を使用しないで一定の飛行ができる能力が求められています。周囲の状況によってそのような安定化機能が効かなくなる場合があり、そのような時でもあわてず対処できる技能が必要ということです。

というわけでJUIDAの実技試験もGPS等はオフで行うことになっています。

ただ当校では最初からAモードではなく練習のかなりの部分をPモードで行って、最後に応用編といった形でAモードでの練習をし、試験を受けていただきます。

スティック操作で機体を自由にコントロールできるようになるためには、まずは余計なノイズである風の影響などをできるだけ除いて練習することが有効であると考えているからです。

たとえばAモードでのホバリングが難しいのは「風に逆らって斜めに飛行すること=静止」という状態で、またその風の方向がしょっちゅう変わるからです。まっすぐ飛ばすことも覚束ないうちにそんな練習をしても混乱するだけで何も身につきません。

逆にPモードだけの練習でも「機体がどの方向を向いていても意図したライン上を飛行できる」ようになれば、Aモードでのホバリングも楽にできるようになります。

たった4日間の講習中に上の動画のようなことまでは無理ですが、修了後の練習会で引き続き技能の向上を目指しましょう。

ところで難しいと言って来たAモードですが、プロポの設定をちょっと変えてさらに不安定にすることができ、われわれ講師は通常このセッティングで風が吹く中でも練習しています。